|
|||||||
| 忠臣蔵と並んで歌舞伎の名作に数えられているもので、史実と異なる登場人物を入れたり、肉親の愛を求め続けた義経のイメージをふくらませたりして劇作品に仕上げられています。 舞台は桜満開の、華やかな吉野山。この山中に隠れている義経を追ってきた静御前が<谷の鶯、初音の鼓・・・>の浄瑠璃で鼓を持って舞っているところへ<忠信が!>の声がかかり、鳴り物入りで忠信が登場してきます。この忠信は実は狐で、親狐の皮が張られた静御前の鼓を親と慕い、ずっと付いて来ていたのでした。 静と忠信のかけ合いの後、<姓名添えて賜りし、御着せ長(鎧)を取りいだし・・・>と浄瑠璃がそのいわれや源平合戦の様子を語りますが、その間の忠信の所作や、衣装の早変わりに歌舞伎の醍醐味が感じられます。 そのうちに「やーれこいやー」と花道の奥から声があがり、コミカルな化粧をした早見の藤太が数人の家来を引き連れて現れます。藤太たちは静御前を捕らえて一儲けしようとたくらんでいるのですが、どうしようもない臆病者で、家来に馬鹿にされている始末。家来とのかけ合いや藤太の道化が面白く、思わず笑いを誘われます。 藤太たちが静御前を見つけて有頂天になっていると、いつも間にか忠信にすり替わられ、立ち回りをしているうちに、だんだん狐の魔力にとりつかれていきます。ここでもう一度衣装が変わる見せ場があり、藤太たちを完全に打ち負かした忠信が、堂々と六法を踏んで幕となります。 この吉野山は、上方・江戸の両歌舞伎の特徴をうまく取り入れているとともに、観衆にアピールする道化や、藤太の同じ行動の繰り返し、独特の重ね言葉などに播州歌舞伎の魅力がふんだんに見られます。また、最後に忠信が見せる「狐六法」は、子狐が親狐を慕って飛び回る仕草を舞踊化・様式化したもので、とっておきの名場面の一つと言えましょう。 |
![]() 左 中村和歌若氏 右 嵐獅山氏 |
||||||
|
|||||||
|
|||||||
|
|
|||||||