伝統を守り続ける。加美区奧荒田で楮(こうぞ)の芽こぎ作業が行われました。

 加美区奥荒田公民館の前を通り過ぎ、約500㍍行ったところで『こうぞの森』と描かれたカラフルな手作り看板に目が留まる。
 この看板の奥、約5反の場所に、大小含め900株ほどの楮(こうぞ)が青々と広がる。
 ここは、多可町の伝統特産品「杉原紙」の原料・楮を地域住民の手で育てようと山を開拓して作った楮の森です。
 8月19日(日)、早朝から奥荒田集落の皆さん約45名が参加し、楮の芽こぎ、草刈りが行われました。
 芽こぎ作業とは、枝分かれして伸びる細い枝の芽を切り落とし、太く真っ直ぐに伸びる楮の木に栄養が行き届くよう手をかけていく作業です。
 大人の背丈を優に超す楮の1株1株の枝状態を確認し、ハサミで切り落としていかれました。
 今では見違えるほどの森となっていますが、ここまで来る道のりは容易なものではありませんでした。 当初、更地に楮を植えていましたが、夏には背丈ほど伸びる雑草と入り交じってジャングルのようになり、雨が降れば水はけが悪く根が腐っていくなど様々な問題に頭を抱えておられました。そこで、同じく楮を育てられている他県に視察に行ったり、自然の生命力に耳を傾けながら、ねばり強く楮に向き合ってこられました。
 その結果、昨年から畑のように畝をつくって楮を育てることを考案。今年は、イメージ通りの育成具合で集落の皆さんも大いに喜ばれていました。
 『楮を育てていくことは、本当に大変な作業なんです。しかし、集落の皆さんの協力でここまで続けてこれることが出来ました。だから、この楮の森は、地域のコミュニティーの場でもあるんです・・・。』と語る当初から楮の世話役でもあり、入り口の看板を作られた藤田敏夫さんの目にはこれまでのご苦労がにじみ出ていました。

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